
「銀行はどうやって企業を格付けしているの?」
「銀行の格付けを上げる方法が知りたい」
このように、銀行からの格付けを上げて融資を成功させたいと考えていませんか?
結論から言いますと、銀行は決算書を中心に数値的な部分で企業を7割〜8割格付けしているため、見栄えの良い決算書を作成すれば格付けを上げることは十分可能です。
こちらの記事では、銀行が格付けする4つの基準や格付けの方法、格付けを上げる3つのポイントについて紹介しています。
こちらの記事を読むことで、
- 銀行の格付方法が分かり、自社の格付けがどの程度かを予測できる
- 格付けを上げる方法が分かり、格付けに向けて対策ができる
ようになります。ぜひ最後まで読み進めて銀行の融資を成功させてください。
目次
銀行が企業を格付している?融資の可否を決定する材料に
銀行は企業を格付けして融資をするかどうか決めています。
具体的には、融資の申し込みを行った企業の決算書や事業計画書などから10段階に格付けします。そのうち格付けの結果が上位であればあるほど、返済能力の高い企業と評価され、好条件で融資が受けやすいです。
たとえば、10段階のうち上から1〜3番目に格付けされれば低金利で高額な融資が受けられます。逆に、上から6〜10番目に格付けされると融資が受けにくく、仮に融資が受けられても金利が高いなど条件が悪くなることがほとんどです。
事業者が銀行から融資を受ける際は、できる限り上位に格付けされる必要があります。
格付の基準となる4つの指標!利益以外に評価される要素
格付けは以下4つの経営指標を基準に行われます。
- 収益性
- 安全性
- 成長性
- 債務の返済能力
格付けの基準は事業の収益性だけでなく、事業の利益が安定しているかどうかや、これからさらに利益が伸びていくかなどです。利益が高ければ上位に格付けされるわけではありません。
事業で高い利益を出していても、借入の返済などを行っていれば債務の返済能力が低いのではと疑われます。
逆に言えば、利益があまり少ない事業者や赤字の事業者でも上位に格付けされる可能性はゼロではありません。以下では、銀行の具体的な格付けの手順について解説していきます。
銀行の格付方法!評価が決定するまでの3つの手順
銀行が格付けを行う手順は次の通りです。
- 定量評価
- 定性評価
- 返済能力の評価
銀行によって格付方法はわずかに異なりますが、金融庁の指示に基づいて格付方法を決めているため大きな流れは変わりません。
ここからは、それぞれの手順について詳しく解説していきます。
定量評価|決算書など数値から企業のスコアを判断する
銀行は格付けにおいて、まず「定量評価(ていりょうひょうか)」を行います。
定量評価とは売上や利益、経費といった数値で評価される部分です。格付けでは決算書をもとに自動でスコアリングし、数値的な要素から企業を評価しています。
また、定量評価は格付けの各手順の中でも非常に重要な部分で、定量評価だけで格付けの7割〜8割が決定します。次の定性評価や返済能力の変化ではわずか2割〜3割程度しか評価に繋がらないので、上位に格付けされるためには定量評価の対策が必須です。
事業の利益だけが格付けの基準ではないものの、決算書における利益や売上が格付けの評価の大部分を占めていることは把握しておきましょう。
定性評価|数値からはわからない企業の潜在能力を評価
定量評価の次は、「定性評価(ていせいひょうか)」によって格付けが行われます。
定性評価とは、経営者のスキルや経験など数値では評価できない部分です。具体的には、以下のような要素が評価対象となります。
- 経営者のスキルや経験
- 市場の将来性
- 事業の計画性
- 営業力
- 技術力
- 財務の管理能力
など
定性評価では事業の将来性なども見られるため、収益性の低い事業者は、数値では表せない事業の魅力をアピールすることが大切です。
ただし、格付けでは定量評価が多くを占めているため、定性評価で定量評価を覆すことはできません。定性評価は足りない定量評価をプラスにする程度と考えておきましょう。
返済能力の評価|決算書に書かれていない数値を評価
銀行は格付けにおいて、最後に返済能力の評価を行います。
企業の返済能力は定量評価によってある程度把握できるものですが、ここでは決算書などには書かれていない情報が評価の対象です。具体的な評価対象には以下のものがあります。
- 回収不能な売掛金の有無
- 換金不能な不良在庫の有無
- 有価証券の含み益や含み損の有無
- 関連企業や親会社等の資産余力
など
回収不能な売掛金などがあれば、企業の資産として認められないためマイナスに評価され、一方で関連会社等に資産余力があればプラスに評価されます。ただし、返済能力の評価も格付けに大きな影響力はありません。
定性評価と同様に、定量評価を補う程度と考えておく必要があります。
格付で債務者を6種類に分類!融資可能な債務者区分とは?
格付けで債務者を大きく10段階で評価した後、そのまま6種類の債務者区分に分類します。格付けで分類される債務者区分は以下の通りです。
- 正常先
- 要注意先
- 要管理先
- 破綻懸念先
- 実質破綻先
- 破綻先
基本的に融資を受けられるのは正常先で、要注意先から下位に格付けされると融資が厳しくなることが一般的です。特に新規で融資を受けるのはほとんど不可能です。
ここからは、それぞれの債務者区分について詳しく解説していきます。
正常先|業績と財務状況がともに良好な債務者
決算書において業績と財務状況が共に良好なら正常先として格付けされます。
正常先に分類された事業者は、基本的に融資を受けることが可能です。
また、10段階の銀行格付けのうち、1〜3段階と評価された事業者が正常先に分類され、段階によっては金利や融資限度額などが変動します。
たとえば、正常先の中でも上から1段階目に格付けされた事業者は、低金利で長期間の融資が可能です。一方で、上から3段階目に格付けされた正常先は、融資は受けられるものの、金利がやや高くて融資限度額も低い傾向にあります。
銀行から最高の条件で融資を受けたいのならば、正常先の中でも上位に格付けされなければいけません。
要注意先|業績や財務内容などにやや問題がある債務者
業績が不調で財務状況に問題がある事業者や、他者からの借り入れを滞納している事業者は要注意先に分類されます。10段階で言えば、上から4〜7段階目に格付けされた事業者が要注意先です。
特に、以下に当てはまる事業者は要注意先に分類される可能性が高いです。
- 赤字
- 業況が不安定
- 元本や利息の返済を延滞している
- 決算書の純資産がマイナス
など
要注意先に分類されると融資が受けるのが難しくなります。融資は不可能ではないものの、基本的には受けられないと考えておく必要があります。
要管理先|要注意先の中でも特に問題の大きい債務者
要管理先は、要注意先の中でも特に問題の大きいと判断された債務者です。
たとえば、元本や利息の返済を3ヶ月以上滞納していたり、金利の減免などを行ったりした事業者は要管理先に分類される可能性が高いです。
10段階のうち7段階目の事業者が要管理先となります。要管理先と格付けされた事業者は融資を受けるのはほとんど不可能です。
破綻懸念先|経営破綻はしていないが経営難の債務者
破綻懸念先は、これから経営破綻に陥る可能性が高いと判断された債務者です。
具体的には、以下に当てはまる事業者は破綻懸念先に分類される可能性が高いです。
- 重度の赤字
- 債務超過を起こしている
- 元金や金利の返済を6ヶ月以上滞納している
など
10段階のうち上から8段階目が破綻懸念先となります。
破綻懸念先と格付けされた事業者は、基本的に新規の融資を受けることができません。すでに融資を受けている事業者に対しても、破綻懸念先と格付けされた場合は、債務を早期回収されたり金利を上げられたりされやすいです。
現段階では破綻していないものの、経営難で経営改善などの進捗状況も悪い事業者は格付けに十分注意する必要があります。
実質破綻先|経営難が申告で立て直しを見通せない債務者
実質破綻先は、深刻な経営難で立て直しの見通しも立たない債務者です。10段階で言えば、上から9段階目の格付けとなります。
実質破綻先に分類される事業者には、具体的に以下のような特徴があります。
- 多額の不良資産を持つ
- 債務者の返済能力に対して借入金の残高が明らかに多い
- 長い間大幅な債務超過の状態にある
- 元金や利息等を長期間延滞している
- 事業好転の見通しがない
など
このいずれかに当てはまる事業者は、実質破綻先に分類される可能性が高いです。
実質破綻先は、法的あるいは形式的に経営破綻の事実は発生していないだけで、実質的に経営破綻している状態です。破綻懸念先と同様に融資を受けることはできません。
破綻先|法的に経営破綻の事実がある債務者
破綻先は、法的・形式的に経営破綻の事実がある債務者です。10段階のうち10段階目の格付けです。
たとえば、破産や民事再生などで経営破綻している事業者は、破綻先として分類されます。破綻先と分類された事業者は、銀行で融資を受けることはできません。
銀行の格付を上げる3つのポイント
銀行の格付けを上げるポイントは以下の3つです。
- 見栄えの良い決算書を作成する
- 事業計画書など添付書類を作成する
- 代表者からの借入や個人資産を資本金として計上する
銀行の格付けを上げれば、融資を受けられる可能性が高まります。銀行で融資を受けたいと考えている事業者は必ず格付けの対策を行いましょう。
ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。
見栄えの良い決算書を作成する
見栄えの良い決算書を作成することは、格付けを上げるために重要なポイントです。
なぜなら、銀行の格付けは主に決算書をもとに定量評価を行うからです。定量評価で格付けの7割〜8割が決まるため、決算書次第で格付けが決まると言っても過言ではありません。
見栄えの良い決算書には以下の特徴があります。
- 資産の部がプラスになっている
- 自己資本率が50%以上
- 経常利益が出ている
- 売掛金が多く、未回収額が過剰でない
- 個人資産が豊富にある
など
決算書がこのように表記されていれば、格付けでも上位に評価される可能性が高いです。
ただし、見栄えの良い決算書を作成するためには、事業がある程度うまくいっていなければいけません。債務超過が明らかで赤字続きの事業では、そもそも見栄えの良い決算書を作れないので注意しましょう。
事業計画書など添付書類を作成する
格付けを上げるためには、事業計画書をはじめ、数値では現れない事業の魅力を示した添付書類の作成が必要です。
なぜなら、金融庁は金融機関に対して、融資を行う際は事業性を評価するよう通達しているためです。事業計画書などはその事業性評価に関わる部分で、事業を評価してもらえるようアピールすれば、格付けが上がる可能性が高いと考えられます。
たとえば、これから利益が伸びる根拠を示したり、現在事業がうまくいっていない理由と解決策を細かく説明したり、作り込まれた事業計画書は高い評価を得られるでしょう。また、質の高い事業計画書は、それを作成する努力や事業にかける熱意も評価対象となります。
また、以下の記事では事業計画書の書き方について詳しく解説しているので、質の高い事業計画書の書き方がわからない人はぜひ参考にしてください。
代表者からの借入や個人資産を資本金として計上する
決算書のところで少し触れましたが、代表者・経営者からの借入や個人資産を会社の資本金として計上するのも格付けを上げるポイントの一つです。
代表者からの借入とは、事業を行う上で代表者が自腹で支払った費用のことです。代表者からの借入などを資本金に振り替えることで、決算書において以下のようなメリットがあります。
- 資本金の増加
- 自根資本比率が改善
- 債務償還年数の短縮
- 会社の負債が減少
資本金は大きければ大きいほど、経営において安定性が高いとみなされ、格付けにおいても高く評価されます。特に赤字や債務超過を起こしている事業者は、場合によっては赤字を相殺できるため、できる限り個人資産等は資本金として計上しましょう。
格付の低い企業はどうすればいい?銀行以外の資金調達
ここまで、銀行の格付基準から格付けを上げる方法まで紹介してきました。しかし、中には格付けで低く評価されて、銀行からの融資が難しい企業もあるはずです。
銀行からの融資が難しいなら、他に資金調達する方法として以下のものを検討しましょう。
- 日本政策金融公庫の融資制度
- 親戚や知人等からの借入
- ビジネスローン
- ベンチャーキャピタル
- エンジェル投資家による出資
- 政府や自治体からの助成金
など
銀行以外にも資金調達する方法はたくさんあります。
以下の記事では上記で紹介した方法をはじめ、さまざまな資金調達についてメリットやデメリットなど詳しく解説しているので、資金調達について気になる方はぜひチェックしてみてください。
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まとめ:格付の対策をして融資を成功させよう
銀行は企業に融資を行う際、その企業の返済能力の高さや信用度を10段階で格付けしています。上位に格付けされれば好条件で融資を受けられますし、下位に格付けされれば融資が難しくなります。
しかし、格付けは工夫次第で上げることができるため、低く評価される企業でさえ融資を受けられる可能性は少なくありません。
銀行から融資を受ける際は、必ず格付けの対策を行って融資を成功させましょう。

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