銀行からの融資は資金調達の代表的な手段として挙げられます。事業を安定して行うためには銀行との関係作りは必須と言えるでしょう。銀行から資金調達をするにも、まずはどういった銀行があるのか、融資の流れはどうなっているのか、担当者が審査する内容を知っておく必要があります。本記事では、初めて銀行から資金調達を行う人向けに実際の手続きの流れについて解説します。

銀行の手続きは以下の流れで進んでいきます。

  1. まずはどの銀行から資金調達するのかを考える
  2. どの融資制度を選ぶのかを決める
  3. 銀行と融資の種類が決まったら実際に融資の申込をする
  4. 面談や書類で審査されるポイントを理解する
  5. 銀行内で行われている稟議の流れを知る
  6. 着金後も担当者と関係を築いておく

まずはどの銀行から資金調達するのかを考える

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一言で「銀行」と言っても、「都市銀行」「地方銀行」などいくつかのジャンルに分かれており、それぞれで特徴が異なります。

主な違いとしては「対象とする企業規模」「対象とする地域」が挙げられます。2つの視点から自社にあった銀行を選びましょう。

日本政策金融公庫

日本政府が100%出資している金融機関です。

日本経済の発展を目的として運営されていて、他の金融機関と比べると金利が低く、創業期~売上高1億以上と幅広い企業規模に対応しているため、どの企業でも相談しやすい金融機関です。

また、日本全国幅広く支店を構えているのでどの地域でも相談可能です。

創業前でも借りられる特殊な金融機関のため、早い段階で関係を作っておくのが良いでしょう。

日本政策金融公庫のメリット

日本政策金融公庫のメリットは以下の3つです。

  • 金利が低い
  • 信用保証協会とは別枠
  • 社会課題を解決するための資金が豊富

100%国が出資する金融機関である日本制作金融公庫は金利が低いのが大きな特徴で、2%前後の低金利で融資を受けることができます。

また、日本政策金融公庫は信用保証協会の保証を付けることはしないので、信用保証協会の保証をつけて融資を行う銀行や信用金庫などとは完全に別枠で融資を受けることが可能です。

さらに、コロナ対策・災害対策などの社会課題を解決するための資金を政府の方針に沿って速やかに用意するので、災害時などには非常に有効活用できる金融機関です。

日本政策金融公庫のデメリット

日本制作金融公庫のデメリットは「融資までに時間がかかる」という点です。

銀行のようにどこにでも支店があるわけではないので、申し込みは郵送での書類のやりとりになることが多いので、それだけで時間がかかってしまいます。

また、契約には必ず面談が必要になるので、アポをとって面談後に審査通過という流れになり、場合によっては1ヶ月近くの時間を要することも珍しくありません。

日本政策金融公庫には時間的な余裕を持って申し込みましょう。

都市銀行

東京や大阪などの大都市に本店を構える金融機関です。

日本全国に支店を構えていますが、取り扱っているのは売上高約1億円以上の大手企業が中心です。

なお、都市銀行とはいわゆるメガバンク(三井住友銀行・三菱UFJ銀行・みずほ銀行)とりそな銀行が当てはまります。

都市銀行のメリット

都市銀行のメリットは日本全国で様々な対応をすることができるという点です。

都市銀行は日本全国に支店を構えているため、例えば全国展開している企業が「地方の不動産を担保に入れたい」という時には、地方支店の担当者がすぐに対応可能です。

「地方に工場を建設するための資金を借りたい」などの場合でも、都市銀行には全国にネットワークを持っているためすぐに対応することができます。

また、都市銀行は日本国内に留まらず、海外にも支店やネットワークを持っているので、海外展開したい場合にも大いに活用することができるでしょう。

都市銀行のデメリット

都市銀行のデメリットは「規模の小さな企業は取引することが難しい」という点です。

都市銀行の取引先は資本金1億円以上の企業が大半です。

そのため、一定規模以下の企業が都市銀行から融資を受けるのは難しいでしょう。

地方銀行

地方銀行は各地域に店舗を構えている金融機関です。

所定の地域にのみ店舗を構えているため、地域に密着する形で融資を行っています。

対象の企業規模は都市銀行と信用金庫の中間となります。

地方銀行は「第一地銀」と「第二地銀」の2種類に分かれますが、俗称であり2019年現在大きな違いはありません。

地方銀行のメリット

地方銀行のメリットは以下の2つです。

  • 地域経済の情報に精通している
  • 地域の企業の面倒見がよい

地方銀行はその地域の経済界の中心的な存在です。

そのため、地域の経済事情に非常に精通しており、取引をすることによって、その地域の経済的な事情をかなり詳しく知ることができます。

また、地方銀行は「地域の起業を融資を通して発展させ、地域経済の発展と雇用の創出を図る」という公共的な使命を負っています。

そのため、経営が傾いた企業に対しても条件変更や追加融資などによって経営再建の手助けをしてくれます。

地方銀行は「面倒見がよい」というのが大きなメリットです。

地方銀行のデメリット

地方銀行は都市銀行や信用金庫の中間に位置するので、中途半端と言えば中途半端です。

都市銀行ほどの全国ネットワークを構築しているわけでもなければ、信用金庫ほどには地域密着でもありません。

また、都市銀行ほど高額融資に対応してくれませんし、信用金庫ほどこまめに訪問もしてくれません。

そのため「全国展開したい時には対応できない」「会社に訪問して欲しい時に訪問してくれない」など、中途半端な対応に対して不満を感じるケースも少なくないでしょう。

信用金庫

信用金庫法に基づいて設立された金融機関です。

会員制度による協同組織であり、営利よりも地域社会や会員のための利益を目的としています。

会員になることで融資を受けることができます。

会員になるには所定の地域に事業所を構えていることと従業員数300人以下または資本金が9億円以下であることが必要です。

信用金庫のメリット

信用金庫のメリットは、とにかく地域密着で訪問してくれるという点です。

ほんの少しの用でも会社に訪問してくれるので、経営者は信用金庫へ行く必要がないほどです。

融資手続、振り込み、預金の入出金など、あらゆることが会社に居ながら手続きできるので忙しい経営者にとっては非常にメリットがあります。

信用金庫のデメリット

信用金庫のデメリットは「対応できる融資金額が低い」という点でしょう。

信用金庫は規模が小さいので、高額の事業資金融資には基本的に対応していません。

数百万円・数十万円の小口融資でも訪問して丁寧に手続きをしている一方、高額になると対応できないので、ある程度会社の規模が大きくなってきたら地方銀行や都市銀行へ乗り換えることも検討すべきでしょう。

信用協同組合

中小企業等協同組合法に基づいて設立された金融機関です。

信用金庫と地域社会の発展や同様に会員間での利益を目的としてます。

信用金庫と同様に会員になることで融資を受けることが可能ですが、従業員300人以下または資本金3億円以下(卸売業は100人以下または1億円以下、小売業は50人以下または5,000万円以下、サービス業は100人以下または5,000万円以下)が対象となります。

信用共同組合のメリット

信用組合はあまり事業資金融資を取り扱っていません。

厳しい目線で企業をチェックすることができる担当者が少ないので、希望した借入がすんなり審査に通過するということがあるようです。

「審査に通りやすい」というのが信用協同組合のメリットです。

ただし、ほとんどが信用保証協会の保証付融資ですので、保証協会の審査に通過できない融資案件は絶対に審査に通過することはできません。

信用協同組合のデメリット

事業資金融資の経験が少ない信用協同組合は、職員も事業資金融資に対する知識や経験が希薄というケースが多いようです。

そのため、手続きや審査に時間がかかってしまい、スムーズさに欠けるのがデメリットです。

少しのことでも「支店に戻って上司に確認します」という若い職員が多く、対応にイライラしてしまうかもしれません。

銀行ごとの特徴について解説しましたが、一概にどの銀行がどの企業に合っているかは言い切れません。

一般的には銀行はほとんどの業種に対応していますが、支店ごとに対応する業種が偏ったりするケースもあるため、得意・不得意な業種がある場合もあり得ます。

銀行は常に顧客を探しているため、申込をしなくても電話口で簡単に相談に乗ったり、質問に答えてくれたりします。

気になる金融機関があれば相談を持ち掛けて、反応を見てどの金融機関にするか決めるのが良いでしょう。

どの融資制度を選ぶのかを決める

税理士の選び方は?創業融資を相談する際の3つの注意点

一概に融資を受けると言っても様々な種類があるため、どの融資を受けるかを決める必要があります。銀行によっては取扱のないものもあるため、銀行が決まった上で必要なものを選びましょう。

プロパー融資

いわゆる一番基本的な融資です。

各金融機関が独自の判断で審査および融資を行います。

銀行は自社でリスクを負うため審査が厳しいですが、金利が低く、金額が大きく出やすいというメリットがあります。

初めての融資でプロパー融資を通すのは難易度が高いため、最初は別の方法を考えるのも手でしょう。

保証協会付けの融資

銀行が融資を行い、万が一返済が行われなかった場合には保障協会が負担を負う仕組みになっています。

銀行が直接リスクを背負わない分、プロパー融資と比較すると融資が下りやすい傾向にあります。

返済できなかった場合には返済義務そのものがなくなるわけではなく、保証協会に返済していく必要があります。

難易度を考えると一番最初に考えるのがよい融資制度かもしれません。

当座借越

一定額まで自由に借入および返済ができる融資制度で、上限額は審査によって決定します。

経営者にとっては突然の出費に対応できるようになるため非常に魅力的な融資制度ではありますが、利用までには非常に審査が厳しいのが特徴です。

当座預金残高と連動する「一般当座貸越」と当座預金残高と連動しない「専用当座貸越」があります。

銀行と融資の種類が決まったら実際に融資の申込をする

Business people are exchanging document

どの銀行に申し込むかと融資の種類が決まったら、実際に融資の申込を行います。

必要な書類は銀行から指示があるので、指示に従いましょう。

書類の中で特に重要なのは事業計画書で、資金使途の説明や売上の伸び方を説明するために使われます。

この計画書の質が資金調達の成否を決めると言っても過言ではないので、特に入念に作り込むことをオススメします。

計画書の作成も終わり、書類が全部提出し終わった後に担当者との面談に臨みます。

銀行内で行われる稟議の流れは後述しますが、面談担当者は会社の強みやアピールポイント、経営者の人柄を決裁権を持っている支店長(もしくは本部)にアピールする代理人になります。

担当者がアピールしやすいように、わかりやすいプレゼンテーションを行いましょう。

面談や書類で審査されるポイントを理解する

Portrait of Asian businessman thinking when working on computer in office

面談や書類において審査される点を解説します。

審査される内容は多岐に渡るため、全てを書ききることはできません。

代表的なものについて解説します。様々な形で質問をされますが、銀行の担当者が知りたいのは以下の4つです。

  • 資金使途が明確であり、正当性があるか
  • 返済プランが明確であり、実現可能性があるか
  • 返済ができなかった場合にどう保証するのか
  • 継続的な関係を築くメリットがあるのか

銀行は貸したお金に金利をのせて確実に回収するビジネスモデルになっています。

そのため、確実に返済してくれそうな人を好みます。

書類の提出など細かく審査されるのはそのためです。それでは具体的な審査内容を紹介していきます。

借入したい資金の使途が明確か

借入した資金の用途が不明確だと銀行は融資を下ろしてくれません。

用途が不明確だと、返済されるかどうかも不明確なため、融資を控えます。

資金使途は正当性があるものを申請する必要があります。

売上に対して多額すぎる借入がないか

売上に対して多額の借入があると、追加で融資を受けるのは難しくなります。

今後、契約などが取れていて明らかに売上が伸びていくのであれば別ですが、返済ができない額の融資はあまりやりたがりません。

追加融資を受けたい場合には、一定程度返済してから検討しましょう。

代表者の信用情報に大きな問題がないか

銀行は個人の信用情報にアクセスして内容を確認することができます。

信用情報では過去のクレジットカードの利用状況や借入の状況、返済履歴などが掲載されています。

返済の焦げ付きや大きな返済の遅れなどがあると、「返済に関してルーズな人」と判断し、融資を行ってくれません。

なお、この信用情報は個人でも取得可能で、「CIC」もしくは「JICC」から書類を取り寄せれば、内容を確認することができます。気になる方はあらかじめ内容を確認しておきましょう。

なお、信用情報に問題がある場合には、返済を終えるか一定期間が経過しないと解消されません。

代表者の人柄に問題はないか

審査においては決算書や書類の内容など明確な形があるものが中心となりますが、代表者の人柄も見ています。

代表者が優秀であることはもちろん重要ですが、堅実に返済してくれる真面目な人を好む傾向にあります。

銀行からすれば、融資をしてから返済まで長いお付き合いをする関係になるため、融資をする相手は多少選びたいのが本音です。

事業についてきちんと話せることはもちろん重要ですが、態度が悪くて良いことは何もありませんので、担当者から見て印象が悪くなるような態度を取ることは絶対に避けましょう。

資金の出所が明確であるか

銀行は手元にある資金の出所を気にします。

これは反社会勢力との繋がりがないかどうかを見極めるためです。

出所が不明な多額の資金があると、銀行は怪しむため、きちんと説明できるようにしておきましょう。

詳しくは後述しますが、担当者は面談が終わった後に稟議書を作成して提出する必要があります。

この稟議書を作成するために面談していると言っても良いので、稟議書を作りやすくなるような内容を面談で伝えることが重要です。

銀行内で行われている稟議の流れを知る

日本政策金融公庫の審査期間は?面談結果はいつ届く?

面談が行われた後に、銀行内で稟議が行われて融資が下りるかどうかが決まります。

担当者が面談や書類の内容に基づいて稟議書を作成します。

稟議書が作成出来たら、決裁権を持っている支店長が内容を見て融資を下ろすかどうかを決定します。

ただし、金融機関や融資金額によっては本店の部長や役員が決済を覆ない、支店長は中間決済を行う場合もあります。決算書の内

容は以下で構成されています。

企業の基本情報

  • 商号
  • 住所
  • 代表者名
  • 株主構成(株式会社の場合)
  • 業種
  • 取扱商品
  • 強み
  • 弱み

企業の決算数値

  • 損益計算書
  • 賃借対照表
  • 最近の試算表の内容
  • 今期の決算の見込

融資条件

  • 希望融資額
  • 希望返済期間
  • 希望返済方法(一括、分割、据え置き期間)
  • 資金使途(運転資金、設備資金、その内容)

適用予定金利

  • 固定金利もしくは変動金利
  • 金利額

保全状況

  • 担保や保証金の有無

他行の借入状況

  • 他行の融資状況の推移
  • 他行の返済状況

稟議書の作成者の結論

  • 融資実行の有無
  • 融資をする理由
  • 銀行にもたらされる利益・メリット
  • 融資実行時の条件(金利、返済期間、金額、返済方法など)

回覧者のコメント

  • 特筆事項があれば記載する

着金後も担当者と関係を築いておく

制度融資とは?中小企業が聖堂融資を利用する3つのメリット・デメリット

融資が下りたからといって銀行や担当者との関わりはすぐ終わりではありません。銀行にとっては貸したお金を回収するまでが仕事なので、定期的に会社の状況を確認してきます。財務諸表の提出を求めるだけではなく、営業所に出向く場合もあります。担当者と関係を築いておくと、困った際に追加融資を優先的に検討してくれます。担当者の心証を良くするためには返済には遅れずに確実に行うことが重要です。安定した事業を行うためにも担当者との関係はしっかりと築いておきましょう。

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まとめ

代表的な資金調達手段である銀行の申込時の流れについて解説しました。事業を安定して行いたければ早い段階で銀行と関係を築いておくことが重要です。企業規模と事業を行う場所によって金融機関を決めた上で申し込みを行いましょう。審査においては「資金使途が明確であり、正当性があるか」「返済プランが明確であり、実現可能性があるか」「返済ができなかった場合にどう保証するのか」「継続的な関係を築くメリットがあるのか」の4つが重要視されます。最終的には決裁権を持った担当が判断をするため、担当者の力量による部分もありますが、少しでも確率を上げるためにわかりやすいプレゼンテーションを心がけましょう。

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