「資本金を増資したいけど、どんな方法がある?」
「資本金を増資すると税金周りはどうなるんだろう?」

このような疑問をお持ちではないでしょうか?

事業を行っていく上で資金は最も重要な要素の一つです。

資金を調達するために特に有名な方法が融資ですが、融資には返済義務や金利があるため、必ずしも優れた資金調達方法とは言い切れません。

一方で、返済義務や金利が発生しない資金調達方法が「増資」です。

今回はそんな資本金の増資に関する具体的な方法やメリット・デメリット、税金との関係などについてご紹介します。

会社(法人)が資本金を増資する意味や理由は?

会社(法人)が資本金を増資する意味や理由は?

「会社(法人)が資本金を増資する」とは、どのようなことなのでしょうか。

まずはこちらについて掘り下げていきましょう。

資本金とは事業を始めるための元手!

その前に「そもそも資本金とは何か?」についてお話していきます。

「資本金」は会社の事業を始める際に自分で持っているお金のことで、「自己資本」と呼ばれることもあります。

一般的に起業したてのころは出資してもらうことは難しいので、基本的には自分が持っている資金が資本金に当てられるケースがほどんどです。

資本金を増資する意味や理由!資本金が変わるとどうなる?

資本金の増資とは、その名のとおり資本金を増やすことです。

具体的には、資本金を増やしたい企業が新たに株を発行し、その株と引き換えに第三者や株主から出資を受けることを指します。

増資は個人事業主や持分会社(社長や従業員のみが出資している会社)には当てはまらず、株式会社特有の資金調達法となります。

資本金が変わると扱えるお金の額が増えることになるので、できる事業の幅も広がります。

そのため多くの企業が事業拡大のために資本金を増資していくのです。

資本金を増資する3つのメリット

資本金を増資する3つのメリット

では、資本金を増資することによるメリットには、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

大きくは以下のようなメリットがあります。

  1. 資金調達できる
  2. 会社の信用度が上がる
  3. 会社の支援者が増える

それぞれ見ていきましょう。

1.資金調達できる

第一のメリットは資金調達ができることです。

先ほども記載した通り、増資は株式を発行して出資を受けることなので、返済の義務がありません。

他の銀行や日本政策金融公庫などの融資と違い金利がかからないため、かなり魅力的な資金調達方法です。

返済義務のない資金があると企業に余裕が生まれ、経営の安定にも繋がります。

その結果、さらに新しい事業を展開することもできるので、増資の活用は企業成長の鍵と言っても過言ではありません。

2.会社の信用度が上がる

他の会社と初めて取引する際、通常は与信と呼ばれる手続きにより会社の信用度が見られます。

与信では

  • 信用調査会社のレポート
  • 決算書
  • 登記簿謄本

などを元に会社の信用度が総合的に判断されます。

この際に資本金の額も大きなポイントの一つとなります。

資本金が多いと信用力が高いと判断され、新規に取引をしやすくなったり、大きな企業とも取引をできたりするようになる可能性もあります。

つまり「増資ができる=資金力が大きくなる=会社の信用度が上がる」と言っても過言ではありません。

3.会社の支援者が増える

会社の支援者とは株主のことです。

株主は株式を所有していることで

  • 配当金
  • 株主優待
  • 株価の上昇による売却利益

などのメリットを得られます。

そのため株主にとっては所有する株式が多いほどメリットは大きいと言えます。(もちろん会社倒産などのリスクはあります)

一方で、株式を所有しているのが特定の株主のみだと特定の株主の権限が大きくなり、会社運営に支障を及ぼすかもしれません。

ですので、株主の偏りをなくすために資本金を増資し、株主の数を増やすことは会社経営のメリットに繋がります。

その他にも、資本金が増え会社の信用度が上がると、周囲からの評判が良くなり出資者が増える可能性もあります。その結果、事業を拡大することもできます。

新たな事業により認知を広げることができると、さらに出資者が増えて企業が成長していくループに入るので、増資の威力は計り知れません。

資本金を増資する3つのデメリット

資本金を増資する3つのデメリット

一方で資本金を増資するデメリットにはどのようなものがあるのでしょうか。

デメリットには以下の3つが挙げられます。

  1. 税金の負担が増える
  2. 増資の手続きに手数料などのコストがかかる
  3. 支払う配当金の額が増える

順番に見ていきましょう。

1.税金の負担が増える

増資に成功して資本金が増えると、税金の負担が大きくなってしまいます。

例えば

  • 資本金が1000万円あると、創業当初から消費税を支払う必要がある
  • 資本金が1億円を超えると、法人税が増加する

といったように税金面ではやや不利となります。

増資をすることにより事業を成長させ、利益を上げることができれば、問題ないかもしれません。

しかし多くの場合、資本金が増えることは税金面では不利になることを頭に入れておきましょう。

2.増資の手続きに手数料などのコストがかかる

実は増資の手続きには手数料がかかってしまいます。

具体的には次のような手数料が発生します。

登録免許税 増資した金額×7 ÷ 1,000もしくは3万円のいずれか高いほう
司法書士報酬 増資金額に応じて、約3万円~10万円

他にも増資の手続きを行うにあたり必要になってくる書類などにもお金がかかってきます。

以上のように増資を行うだけでも毎回コストが発生するので、増資を検討している方は計画的に増資を行いましょう。

3.支払う配当金の額が増える

増資は株式を発行することで出資を受ける資金調達方法です。

そのため、事業で利益が出た際は、増えた株主に対して配当金を支払う必要があります。

配当金の支払い月は

  • 決算月の月末
  • 決算月半年後の月末(中間配当)

など。

資本金を増資して株主が増えると、支払う配当金の負担も大きくなります。

もし配当に応じない場合は、株主から株の売却を要求され、多額の資金が必要となる場合があります。

出資を受けた資本金は返済不要ですが、配当や株式売却による経済的負担が発生することは理解しておきましょう。

資本金を増資する3つの方法と手続き

資本金を増資する3つの方法と手続き

ここまで資本金を増資するメリット・デメリットについて見てきました。

ここからは実際に資本金を増資する方法について見ていきましょう。

資本金の増資方法は大きく分けて3つあります。

  1. 公募増資
  2. 株主割当増資
  3. 第三者割当増資

一つずつ詳しく解説していきます。

資本金の増資方法① 公募増資

1つ目の増資方法が「公募増資」です。

これはその名のとおり公募による増資で、新しく株式を発行することで一般の投資家に向けて出資を募ります。

「公募増資」には次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット デメリット
  • 一般に広く出資を募れる
  • 格安のため出資してもらいやすい
  • 株式の流通量が増え、株主が増える
  • 自己資本比率が高まる
  • 株式が値下がりする
  • 1株あたりの利益率が下がる
  • 既存の株主が持っている株式の資産価値が下がる

一般に公開して出資を募る方法のため、株式がばら撒かれることになります。

流通量が増える分、株式の価値は下がってしまいます。

一方で、格安な価格で株価が設定されるため、多くの投資家から出資を募ることができるのがメリットと言えます。

また、自己資本比率が高まる増資方法でもあるため、財務状況を改善できるのも利点の一つとなります。

ちなみに「公募増資」は未上場企業は扱えないので注意しておきましょう。

資本金の増資方法② 株主割当増資

2つ目の増資方法は「株主割当増資」です。

この増資方法は既存の株主に対して、新しく株式を発行する増資を指します。

「株主割当増資」には次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット デメリット
  • 株主構成や持分割合が変化しにくい
  • 既存株主が保有する株価が低下しづらい
  • 資金調達を行える可能性が高い
  • 課税が発生する場合がある
  • 特定の株主のみに新規株式を発行できるわけではない
  • 株主によっては増資に応じてもらえない場合がある

「株主割当増資」は既存の株主に対してのみ株式を発行できる方法なので、公募増資とは異なり、株主構成や持分の割合はさほど変わりません。

また既存の株主に対して格安で株式を発行できるため、創業当時から応援をしてくれたような株主からは出資をしてもらえる可能性が高いです。

一方で、「株主割当増資」は、株主保有の割合に合わせて均等に引き受けてもらう方法でもあるため、特定の人だけに出資をしてもらうことはできません。

また、条件によっては課税対象になる場合があることは頭に入れておきましょう。

資本金の増資方法③ 第三者割当増資

3つ目の増資方法は「第三者割当増資」です。

この増資は特定の第三者に対して新規株式を発行する方法です。

「第三者割当増資」には次のようなメリット・デメリットがあります。

メリット デメリット
  • 株価を自由に設定できる
  • 株式の売却先を指定できる
  • 自己資本比率が高まる
  • 1株あたりの株価や利益率が下がる
  • 既存の株主が持っている株式の資産価値が下がる

「第三者割当増資」は市場を介す増資方法ではないため、株価をある程度自由に設定できるのがメリットです。

また公募増資と同様に自己資本比率が高まるため、財務状況を改善できるケースもあります。

一方で、「株主割当増資」とは異なり既存株主のみに発行する方法ではありません。そのため株式の絶対数が増えて、1株あたりの株価や利益率が下がってしまいます。

このことから既存の株主にとっては、ややデメリットの大きい増資方法と言えるかもしれません。

資本金の増資と税金の関係!節税する方法はある?

資本金の増資と税金の関係!節税する方法はある?

先ほど、資本金の増資によって税金の負担が増えるデメリットがあるとお伝えしましたが、具体的にどのような影響があるのでしょうか?

ここからは資本金の増資と税金の関係について見ていきましょう。

資本金を増資すると法人税などの税金はどうなる?

基本的に増資により資本金が増えると税金の負担は大きくなります。

具体的に税金に関係する資本金で、特徴が出る金額は1,000万円と1億円です。

例えば、資本金が1,000万円になると次のような課税条件が追加されます。

  • 法人住民税が通常7万円のところが18万円になる(東京都の場合)
  • 消費税の課税対象になる

資本金が1億円になると、次のような課税条件が増えます。

  • 軽減税率が23.4%になる(1億円未満は15%)
  • 法人事業税、法人住民税がさらに高くなる

また、中小企業が資本金1億円未満で受けられる、以下のような特例が適用されなくなります。

  • 交際費の定額控除
  • 30万円未満の少額減価償却資産の特例
  • 一定の機械などを取得した場合の税額控除・特別償却

このように資本金の増資を行うと、税制面ではデメリットに働く場合がほとんどです。

資本金の増資をして節税するのは難しい

以上のことから資本金の増資において、節税を行うのはかなり難しいと言えます。

資本金の増資における税制面でのポイントは1,000万円と1億円です。

資本金が1,000万円になると

  • 法人住民税が増える
  • 消費税の課税対象になる

資本金が1億円になると

  • 軽減税率が23.4%になる
  • 法人事業税、法人住民税が高くなる

といった変更が出てきます。

特に中小企業の場合は、資本金1億円未満で受けられる優遇もあるので、そのあたりを考慮した上で資本金の増資を考えましょう

節税したいなら資本金を増資ではなく減資するのが鉄則

資本金を増資すると税金面ではかなり不利と言わざるをえません。

もし資本金に関して節税を行いたいなら、減資を行うのが鉄則です。

ただ、減資をしてしまうと

  • 資金を調達できる
  • 会社の信用度が上がる
  • 会社の支援者が増える

といった資本金増資のメリットを受けられなくなってしまいます。

ですので、税金面と上記のメリットを考慮した上で資本金の増資・減資を検討しましょう。

資本金の増資に関するQ&A

資本金の増資に関するQ&A

最後に資本金の増資に関する気になる疑問点についてみていきます。

資本金の増資手続きにかかる登記費用や手数料は?

資本金の増資手続きにかかる登記費用などの手数料は以下の通りです。

登録免許税 増資した金額×7 ÷ 1,000もしくは3万円のいずれか高いほう
司法書士報酬 増資金額に応じて、約3万円~10万円

基本的には「登録免許税」や司法書士にお願いするとき発生する「司法書士報酬」がかかってきます。

他には、増資手続きに必要な書類などの諸費用が、実費として数千円〜数万円発生します。

資本金の増資手続きに必要な届出や書類は?

資本金の増資手続きに必要な書類は、増資方法によって異なります。

例えば「株主割当増資」の場合は以下のような書類が必要です。

  • 変更登記申請書
  • 株主総会議事録
  • 取締役会議事録または取締役の過半数の一致を証する書面
  • 募集株式の引受けの申込みまたは総数引受けを行う契約を証する書面
  • 払込みがあったことを証する書面(金銭を出資の目的とするとき)
  • 現物出資に関する書面
  • 謄本(検査役の報告に関する裁判があったとき)
  • 資本金の額の計上に関する証明書
  • 株主全員の期間短縮同意書

それぞれの増資方法により必要な書類は変わってくるので、増資を検討している方は事前に確認しておきましょう。

資本金の増資をするタイミングはいつ?

資本金の増資をするタイミングはいつ?

多くの場合、資本金の増資をするタイミングは事業の拡大を行うときです。

このタイミングというのはそれぞれの企業により異なるため、一概に「この時期がベスト」などと結論づけることできません。

ただ、増資方法によっては株主の議決が必要になったり、増資を行うための手続きに時間を要したりする場合があります。

ですので、増資を検討している場合は、ある程度余裕を持って増資の準備をしておきましょう。

資本金が2000万ある会社のメリットは?

資本金はどのくらいの金額がベストなのでしょうか?

結論から言うと、適当な資本金は会社によって異なるので、正解はありません。

もちろん多ければ多いほど、会社の資金力があるとみなされ、信用度が高いという傾向はあります。ただ、資本金の額で享受できるメリットに大きな差があるわけではありません。

例えば、税制面で大きく変わってくるのは、先述の通り1,000万円と1億円です。この2つの金額を境に軽減税率や法人住民税などに変化が出てきます。

しかし、資本金が1,000万円と2,000万円では金額では2倍の差はありますが、税制面では大きな差はありません。

このあたり頭に入れて、ご自身の事業に合った資本金を検討していきましょう。

資本金を増やさない会社にはどんな理由がある?

資本金を増資することにより得られるメリットはいくつもあるため、多くの会社は資本金の増資を実施しています。

しかし一方で、資本金を増やさない会社も存在します。

これらの会社はなぜ資本金を増資しないのかでしょうか。

大きな理由としては、次のようなデメリットを避けたい場合が多いです。

  • 税金の負担が増える
  • 増資の手続きにコストがかかる
  • 支払う配当金の額が増える

それ以外にも中小企業では、資本金1億円以下で得られる多くの税制優遇もあるため、あえて資本金を増やさないという選択をとっている企業もあります。

また、会社によっては既存の株主を大切にするためであったり、取り組んでいる事業の性質上あえて小規模でやっているという企業もあるかもしれません

資本金の増資は自分でできる?

資本金の増資は自分一人で行うことも可能です。

例えば、利益の組み入れによる増資方法では、法務局のホームページから

  • 会社変更登記申請書
  • 資本剰余金の証明書
  • 臨時株主総会議事録
  • 印紙台紙

などの必要書類を揃えて、法務局に行って手続きを行えます。

ただし、増資を行うためには、様々な手続きや複数の書類を用意する必要があるためかなりの労力がかかってしまいます。また、自分一人で全ての手続きを行う場合、不明点をネットで調べるなど、必要以上に時間がかかるケースもあります。

できるだけ労力を減らして事業に専念したい方は、司法書士など専門の方に依頼しましょう。

まとめ:資本金の増資は事業状況に適した方法を選ぶことが大切

まとめ:事業に合った資本金の増資方法を検討していこう

資本金の増資すると資金調達をできることはもちろん、会社の信用度が上がったり、支援者が増えるというメリットがあります。

一方で、税金面や分配金の面でデメリットもいくつかあります。

増資方法も一般に公募できる方法や特定の人に出資を募れる方法など様々な方法があるので、今取り組んでいる事業の状況によって、最適な増資方法を検討していきましょう。

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