「創業計画書の書き方は公庫の記入例通りにすればいいの?」

このように、創業計画書の書き方がわからずに困っていませんか?

結論からいえば、公庫の創業計画書を記入例の通りに作成するのはよくありません。そもそも記入例のクオリティが高くないので、同じように書けば創業融資の審査通過は難しいでしょう。

では、創業計画書はどのようにして書けばいいのか。

この記事では、公庫の創業計画書を作成する方へ向けて、記入例を見本にして作成してはいけない理由から、項目別の正しい書き方、そして書類作成前の注意点まで紹介していきます。

創業計画書のひな形は以下のリンクからダウンロードできます。

創業計画書のテンプレート|日本政策金融公庫

創業融資の特徴は?

創業融資には通常の運転資金などと比較して特徴が多数ありますが、主な特徴は以下の3つです。

  • 無担保無保証、連帯保証人署名不要
  • 自己資金割合が緩い
  • 融資実行が早い

それぞれの特徴について詳しく解説していきます。

無担保無保証、連帯保証人署名不要

日本政策金融公庫の創業融資は、担保なし保証会社なし、連帯保証人なしで融資を受けることができます。

担保も保証人も用意することができない信用度の低い起業家の方も創業資金で事業に必要な資金を借りることが可能です。

創業融資というのは創業前か創業から間もない事業者が融資を受ける制度ですので、金融機関にとっては「返済できるかどうか不透明」という人へ融資をすることになります。

そのため、担保などを用意することができないとお金を借りることが難しいのですが、日本政策金融公庫の創業融資であれば担保や保証人を用意することができない人でも借入可能です。

自己資金割合が緩い

日本政策金融公庫の創業融資は、必要な自己資金の割合が緩いという特徴もあります。

日本政策金融公庫の新創業融資制度では、創業資金総額の10分の1以上の自己資金という条件であり、自己資金は1割だけ用意すればお金を借りることができます。

また「現在お勤めの企業と同じ業種の事業を始める方」、「産業競争力強化法に定める認定特定創業支援等事業を受けて事業を始める方」に該当する場合には自己資金なしで融資を受けることもできます。

民間金融機関では自己資金割合3割以上などの条件がつくことが珍しくありませんが、日本政策金融公庫は自己資金が乏しい人でも借入可能です。

融資実行が早い

日本政策金融公庫の創業融資制度は融資実行までの時間が早いという特徴もあります。

初めて日本政策金融公庫から融資を受ける場合には、申し込みから融資まで概ね2週間〜3週間程度の時間でお金を借りることが可能です。

民間金融機関の場合には事業計画などを精査するので、場合によっては1ヶ月程度の時間がかかってしまうことがありますが、日本政策金融公庫は創業融資としては比較的早くお金を借りることができるでしょう。

公庫が提供する創業計画書の記入例を見本にするのはNG

日本政策金融公庫は創業計画書の記入例を提供しており、たとえば以下のものがあります。

しかし、これら記入例のクオリティは実はあまり高くありません。記入例を見本にして創業計画書を作成しても、審査に落ちて融資を受けられない可能性は十分にあります。

なぜなら、公庫の記入例は非常に簡易的なもので、また計画書のテンプレートも記入欄が小さいためです。本来、事業によって資金繰りや求められるスキル・経験は大きく異なるので、記入例をまねするだけでは事業の魅力を伝えきることが難しくなります。

特に最後の項目の「事業の見通し」は、創業計画書の中でも重要な項目にも関わらず、事業の資金繰りやその根拠を書き切るに枠が小さいため、記入例に書かれているものだけでは情報不足です。

公庫が提供する創業計画書の記入例は参考程度にし、必要に応じて添付資料を作成するなどしてクオリティの高いものを作ることが大切です。

面談では事業計画書のどの部分か注視されるか

創業融資の面談では、事業計画書をチェックされます。

その中で確認されるポイントは以下の5つのポイントです。

  • 創業に至った背景
  • 経営者のビジョン
  • 数年後の数値目標
  • 数値目標の根拠
  • 事業計画書の分かりやすさ

面談でチェックされる事業計画の重要ポイントについて詳しく解説していきます。

創業に至った背景

事業計画書では、なぜ創業に至ったのか、創業する前のこれまでの経歴等を説明しなければなりません。

この際に、創業に至った背景が合理的なであれば審査に通過することができる可能性は高くなるでしょう。

一方、創業後の業種と創業前の業種に何も関連性がない場合には審査に通過することが難しくなります。

例えば、「これまで普通のサラリーマンをしてきた人が、一念発起してラーメン屋を開業する」というようなケースでは審査に落ちる可能性が高いでしょう。

一方「ラーメン店で10年修行してきたが、このたび暖簾分けで独立するために独立開業資金を借りたい」などの、創業前後の関連性が高い場合には審査に通過できる可能性が高くなるでしょう。

経営者のビジョン

創業を通して社会や人の生活をどのように変えたいのか、という経営者の創業に対するビジョンも審査通過のためには非常に重要です。

ビジョンなき経営は成功することが難しくなります。

しっかりとビジョンをもっている経営者かどうかという点は審査で非常に重要になるので、目標や夢を熱く語るようにしてください。

数年後の数値目標

1年後・2年後・3年後などの中長期の通知目標を記載するようにしてください。

創業間もなくの1年間の数値目標は月次で「月商〇〇円」などと記載するようにするとともに、中長期の目標もしっかりと立てて、確実に会社が成長するような目標を掲げましょう。

数値目標がない会社は、営業活動などをダラダラ行いがちです。

実現可能性のある目標をしっかりと立てて、創業後〇〇年間で会社がこれだけ成長することができると事業計画の中で具体的な目標を立てるようにしてください。

数値目標の根拠

数値目標を立てたら、その数字の根拠を説明することができるようにしましょう。

例えば、『1年間で売上2倍』という目標を立てたとしても、日本政策金融公庫の担当者から「1年で売上が倍になる根拠はなんですか?」と聞かれた時に沈黙してしまえば、審査に通過することは難しくなります。

「毎月5% ずつ売上が拡大していく見込みになっているので、売上は1年間でこれくらい増える」というように具体的な数値目標に基づいた予測をしっかりと立てるようにしてください。

事業計画書の分かりやすさ

事業計画書が、誰が読んでも分かりやすいものであることは非常に重要です。

事業計画書の内容が分かりにくいということは、審査に通過するために作った計画書の内容を理解してもらうことができないということですので、審査に通過できる可能性が低くなってしまいます。

また、事業計画書を分かりやすく作ることができないということは、プレゼン能力が低いということであり、営業能力も低いのではと危惧されてしまいます。

審査では非常に不利になるので、誰が読んでも分かりやすい事業計画書を策定することを心がけてください。

審査に通過しやすい創業計画書の書き方!各項目別に解説

審査に通過しやすい創業計画書の書き方にはコツがあります。

ただ記入例をまねるのではなく、それぞれの項目について、具体的かつ根拠を持って書いて創業計画書のクオリティを上げることが大切です。

ここからは、審査に通過しやすい創業計画書の書き方について、各項目別に詳しく解説していきます。

1.創業の動機の書き方|自身のストーリーを熱く語る

「創業の動機」を書く際に大切なのは、ビジネスにかける想いや使命感を熱く語ることです。

創業動機を熱く語れば、希望者の人間性に好感を持ってもらえますし、担当者にも「応援したい」と思ってもらいやすいです。

もちろん、創業動機を熱く語ったところで審査が有利になる訳ではありません。しかし、担当者に「この事業と創業者を応援したい」と思ってもらえば、融資の審査が降りるよう努めてもらえるはずです。

逆に創業動機から情熱が感じられなければ、担当者は創業者に好感をあまり持てないでしょう。

創業動機を熱く語る時はストーリーが効果的です。なぜこの事業を立ち上げようと思ったのか、自分を動かす根源となる熱い想いはどんなものかなどを書けば、きっと担当者から好感を持たれます。

創業の動機を書く時はストーリーベースで自分の創業にかける熱い想いを意識しましょう。

なお、開業時の事業計画を立てるなら、事業計画書の中でも創業時に特化した「創業計画書」の作成がおすすめです。
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2.経営者の略歴等の書き方|経験や実績を具体的に書く

「経営者の略歴等」では、ただ職務経歴を書くのではなく、持っているスキルや過去に表彰された実績などを具体的に書きましょう。

創業融資の審査において希望者の経験やスキルの有無が重要視されます。ただ過去に勤めた会社を記載するだけでは、その人の持つスキルがわからないため審査が不利になります。

また同項目の「過去の事業経験」では、経験が浅いからと「事業を経験していたことはない」にチェックを入れるのは避けましょう。仮に新しいビジネスにチャレンジする場合でも、経験がないことを示せば審査を有利に進めることができません。

たとえば、ほとんど未経験で新しくアパレルで開業する場合であっても、学生の頃にアルバイトした経験や、古着を転売した経験などがあればそれを書くことが大切です。

このように経営者の略歴等の項目では、自分の過去の経験から事業を結びつけて小さな経験も積極的に書くようにしましょう。

3.取扱商品・サービスの書き方|セールスポイントが重要

「取扱商品・サービスの項目」では、事業において勝算があることをアピールする部分です。

商品の内容やターゲット、販売戦略などいくつかの記入欄がありますが、中でも重要なのがセールスポイントです。セールスポイントとは要するにその商品を売るための施策のことで、競合に対する勝算をアピールする場となります。

セールスポイントでは競合に対してどのように「差別化」を図るのかを書きます。

たとえば、飲食店を開くなら「SNSで集客してSNSからのネット予約だけで入店できるお店」など、差別化を図って他の飲食店にはない独自のセールスポイントを書くことが大切です。

差別化を図るコツは大手がやりにくい施策を考えることと、顧客の視点に立ったサービスを意識することです。そのセールスポイントで事業に対する勝算が見られれば、ビジネスとして高く評価されて審査を有利に進めることができます。

また差別化をきちんと考えれば、事業を長続きさせやすいので、融資を受ける前にセールスポイントを考えることは非常に大切なことです。

4.取引先・取引関係等の書き方|見込み顧客がいれば高評価

「取引先・取引関係等」では、すでにいる顧客や仕入先、あるいは将来的に考えられる取引相手について記載します。

現段階で取引相手がいない状態でも空白は避けましょう。まだビジネスが開始されていない状態なら、これから営業する予定の企業を記入したり、外注先を書いたりすることが大切です。

中でもすでに見込み顧客がいる場合は高い評価を得られます。見込み顧客がいるということは、融資を受ける前から営業などビジネスを展開する行動を起こしていることになります。

まだビジネスを展開していない状態でも、これから取引する予定の相手を記入することによって担当者を安心させられるので、空白にはならないようにしましょう。

5.従業員の書き方|個人事業主なら記入する必要がない

「従業員」ではすでに雇用している従業員数、あるいはこれから雇用する予定の従業員数を記入します。

事業内容によっても異なりますが、従業員を雇う予定がない場合や、個人事業主の場合は記入する必要はありません。

また、これから従業員を雇用する場合はざっくりとした人数ではなく、業務フローから逆算した正確な人数を記入するようにしましょう。

6.お借入の状況の書き方!個人の借入も漏れなく書く

「お借入の状況」では、事業とは関係ない個人の借入状況も書く必要があります。住宅ローンやマイカーローン、クレジットカードの残高があればそれらを記入しなければいけません。

なぜなら、個人の借入でも事業の利益から返済することになるためです。仮にプライベートで借金があり、事業がうまくいかずに収入が少ない場合、プライベートの返済が優先されて公庫への返済が滞る可能性も考えられます。

また、日本政策金融公庫は個人信用情報機関「CIC」に加盟しており、融資の審査を行う上でCICに登録されている情報もチェックしているので誤魔化しはききません。

CICとは、個人の信用情報を登録・管理している情報機関のことで、公庫のほかに消費者金融や銀行など各金融機関とも提携している団体です。

つまり各金融機関での借入状況を公庫はある程度把握することができるため、公庫の審査で個人の借入を隠すことは難しいです。

そのため事業用の借入と個人の借入は別物と考えるのではなく、きちんと明記しなければいけません。

事業計画書は、記入するのも大変な上に、頑張って書いても、審査に落ちてしまう可能性も多くあります。

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7.必要な資金と調達方法の書き方|曖昧な金額は避ける

「必要な資金と調達方法」では、事業に必要な資金とその使い道について記入します。

左側の必要な資金は設備資金と運転資金に分けられ、右側の調達の方法は大きく自己資金と借入の2つに分けられ、それぞれ詳しく記入する必要があります。

ここでは、それぞれの資金の違いについて理解しておくことが大切です。たとえば設備資金と運転資金の基準が曖昧で書いてしまうと、面談で担当者と話が噛み合わなかったり、不信感を抱かれたりする可能性があります。

それぞれの資金の違いは以下の通りです。

  • 設備資金
    器具や車両、機械など事業の設備に関わる資金のことです。設備資金に必要な見積書や領収書を整理しておくことが大切です。
  • 運転資金
    商品の仕入れ費用や経費に関わる資金のことです。賃貸物件の礼金や広告費用、ホームページの作成費用などは運転資金に該当します。また事業を開始して収益が発生するまでのつなぎ資金として借りることもできますが、経費の総額と一致していなければ減額される可能性があります。
  • 自己資金
    自分の貯金や家族から受け取ったお金など返済義務のない資金のことです。仮に親族からお金を受け取っている場合は「贈与契約書」と呼ばれる書類を準備する必要があり、その書類がなければ借入と見なされてしまうので注意しましょう。
  • 借入
    借入は、公庫からの借入・知人からの借入・別の金融機関からの借入と3ヶ所に分けられます。親や友人からお金を受け取っていても、返済が必要なら借入に含まれます。

創業融資の申し込み金額は、設備資金と運転資金の合計に自己資金を差し引いた額となります。

8.事業の見通しの書き方|創業計画書の最重要項目

「事業の見通し」は融資審査において非常に重視される部分です。

なぜなら、公庫から受けた融資の返済は事業の利益から行われるためです。きちんと利益が出る計画なのか、計画は理にかなっているのかを徹底的にチェックされます。

事業の見通しを中途半端に書いていたり、公庫の記入例をマネして簡素に書いていたりすると審査を有利に進めることはできないので注意しましょう。

また、事業の見通しの項目には、売上・売上原価・経費・利益の4つがありますが、それぞれその金額に至った根拠も記すことが大切です。

たとえば、飲食業の場合の売上は「客単価×座席数×回転数」の計算式で求められます。この計算式を右枠の根拠欄に記入すれば、売上を算出した根拠がわかり、計画性を高く評価されます。

このように、事業の見通しの項目では創業者の資金繰りに関わる計画性を問われるので、中途半端に書くのではなく、時間をかけてでも根拠のある事業の見通しを作成しましょう。

創業計画書の書き方の基礎!書き始める前の2つの注意点

ここまで、審査に通過しやすい創業計画書の書き方を項目別に解説してきました。しかし、どれだけ正しい書き方知っても、そもそも事業が成立しなければクオリティの高い創業計画書は作成できません。

また、創業計画書を綿密に作成しても、事業の内容によっては計画性が低いと判断される可能性があります。

そこでここからは、創業計画書の作成前に知っておきたい2つの注意点について紹介していきます。

本当に事業は成り立つ?ビジネスフローを見直す

創業計画書を作成する前に、そもそも本当に事業は成り立つのかを考えなければいけません。

突発的に浮かんだアイデアや、過去の経験だけでビジネスをはじめようとすると、クオリティの高い創業計画書を作成できません。また、仮に創業計画書をうまく作成できたとしても、事業の実現性が低くて審査に落とされる可能性も十分にあります。

事業が成り立つか考えるときは、以下5つの経営課題についてスラスラと根拠を持って説明できるかで判断することができます。

  1. 事業の流れを具体的な内容まで説明できるか
  2. 市場の中でもどういったターゲットを攻めるか
  3. 市場の中で差別化を図るポイントはどこか
  4. 売上・経費・利益は予測できているか、根拠はあるか
  5. 資金の使い道と調達方法、借入の返済財源は明確か

まずは創業計画書を作成する前に、これらのポイントを意識して事業を見つめ直してみましょう。

公庫の創業計画書だけでは不十分!添付資料を作成する

冒頭でもお伝えしましたが、公庫の創業計画書は記入欄が小さいため、事業の魅力や事業が成り立つ根拠を伝え切るのは非常に困難です。そのためそれぞれの項目で必要に応じて添付資料の作成を行いましょう。

添付資料が必要な項目と主な資料には、たとえば以下のものがあります。

  • 創業の動機:市場が拡大していることを示す資料など
  • 取扱商品・サービス:商品の写真やサービスのイメージ図など
  • 事業の見通し:資金繰りの計画表など

創業計画書だけでは伝わらない内容や、書ききれない情報は添付資料でカバーすることが可能です。また、添付資料を作成すれば書類のクオリティが上がるだけでなく、その手間が担当者に高く評価してもらえます。

基本的に創業計画書の作成では、添付資料も作成することを前提として考えておきましょう。

創業計画書を正しく書けば経営力も身につく

創業計画書を正しく書けば審査を有利に進められるだけでなく、経営力も身につく効果があります。

創業計画書には、事業に関わるあらゆる情報を記入しなければいけません。そしてそのためには市場分析を行ったり、資金繰りを徹底的に計算・シミュレーションしたりなど、多くの労力を必要とします。

はじめは創業計画書を作成する目的で行ったことでも、市場分析や資金の計算を繰り返すうちにいつの間にかそれが経営力を養っているのです。

また、正しく創業計画書が書けていれば、ビジネスを進めていく上で事業の欠点に気付きやすくなり、早い段階で事業の方向修正ができるようになります。

ただ公庫の記入例をまねただけの創業計画書では、こういった力は身につかないでしょう。経営力を身につけるためにも創業計画書を正しく書くことは非常に大切です。
「銀行から融資を受けたいんだけど金利ってどのくらいかかるんだろう?」
「銀行融資の金利は低いって聞いたけど本当かな?」

このような疑問をお持ちではないでしょうか?

融資の際に気になることの一つはやはり金利ですよね。

この記事ではそんな銀行融資における金利について解説していきます。

本記事をお読みいただくことで

  • 銀行融資における金利相場
  • 銀行融資の金利を決定する要素や計算方法
  • 銀行融資における事業規模や調達方法別の金利

などについて理解できるでしょう。

この記事を読んで、銀行からの融資を受ける際の参考にしてみてください。

銀行融資の金利相場を比較!期間や調達方法で違う?

銀行融資の金利相場を比較!期間や調達方法で違う?

現在の日本では政策金利が低いため、銀行融資の金利相場もやや低くなっています。

具体的には2〜3%前後が銀行融資の金利相場と言われています。

しかし、銀行の金利は

  • 融資期間
  • 調達方法
  • 事業規模

など様々な条件により異なるので、これから詳しく見ていきましょう。

融資期間ごとの金利は?

銀行から融資を受ける際の金利は、返済する期間によって異なります。

例えば、長野銀行の金利は次のようになっています。

長野銀行 創業支援資金「スタート」
融資期間 利率
3年以内 2.766%
5年以内 2.996%
10年以内 3.436%
10年以内超 3.436%

長野銀行|創業支援資金「スタート」」より引用

このように返済期間が長くなればなるほど金利が高くなっていきます。

融資期間が長いと金利が高くなるのは、長期間の融資で何か不測の事態が起きた場合に返済が途絶える可能性が高くなるためです。

返済期間が短いほど低く、長いほど高いという金利の傾向は、銀行に限らずどの金融機関においても変わることはありません。

調達方法ごとの金利の違いは?

また、金利は調達方法によっても異なります。

調達方法の違いとは、貸付をしてくれる金融機関による違いのことです。

銀行以外の金融機関を含めると、調達方法は大きく次の3つに分けられます。

  • 政府系金融機関(日本政策金融公庫)
  • 預金を取り扱う金融機関(地方銀行・信用金庫)
  • 預金を取り扱わない金融機関(消費者金融・信販会社)

それぞれ見ていきましょう。

政府系金融機関(日本政策金融公庫)

日本政府が100%出資している金融機関に日本政策金融公庫があります。

日本政策金融公庫では次の3つの融資制度が用意されています。

  • 中小企業向けの長期融資
  • 個人事業や小規模企業向けの小口資金
  • 農林漁業や国産農林水産分野への長期融資

この中で最も利用されるのが中小企業向けの長期融資で、貸付期間ごとの金利は次のようになっています。

貸付期間 基準利率
5年以内 1.11%
10年超11年以内 1.11%
15年超16年以内 1.14%
19年超20年以内 1.19%

日本政策金融公庫|中小企業事業(主要利率一覧表)」より引用

以上のように、日本政策金融公庫では他の金融機関に比べて金利が非常に低く設定されていることが特徴です。

銀行融資における金利相場は2〜3%なので、日本政策金融公庫は非常に借りやすい金利設定と言えます。

預金を取り扱う金融機関(都市銀行・地方銀行・信用金庫)

融資をしようと考えて、まず思い浮かぶ方法が銀行や信用金庫などからの借入でしょう。

このような金融機関の金利も一般的には安いと言われますが、実際のところはどのくらいなのでしょうか。

今回は、みずほ銀行で中小企業向けに用意されている「スマートビジネスローン」を例に見ていきましょう。

みずほ銀行「スマートビジネスローン」
申し込み条件 以下条件を全て満たしている方
・みずほ銀行に一定期間、口座を持っている・みずほ銀行にお借入残高がない・みずほ銀行からのインビテーションを受けた
借入金額 最大1,000万円(10万円以上から)
借入期間 12ヵ月以内(1ヵ月単位)
借入利率 1%台~14%(年率)
資金使途 運転資金
返済方法 元金均等返済・期限一括返済
担保・保証 担保不要・代表者様の連帯保証が必要
手数料 無料

みずほ銀行|みずほスマートビジネスローン」より引用

こちらの銀行融資の金利は1%からと非常に低く設定されていますが、幅が広く最大で14%になる場合もあります。

金利に幅があるのは、融資を受ける企業の返済能力・借入期間・融資金額などにより異なるためです。

銀行融資の金利が高く借入が難しい場合は、1~2%と比較的金利の低い日本政策金融公庫からの融資を検討してみましょう。

預金を取り扱わない金融機関(消費者金融・信販会社)

消費者金融や信販会社のような機関はノンバンクと言われ、預金を扱わない金融機関となります。

基本的にはノンバンクで借入を行う際の金利は銀行や信用金庫などに比べて高く設定されています。

ここでは大手消費者金融プロミスの自営業者向けローンを例に見ていきましょう。

プロミス「自営者カードローン」
申し込み条件 年齢20歳以上、65歳以下の自営者の方
借入金額 最大300万円
借入利率 6.3%~17.8%(実質年率)
資金使途 生計費および事業費
返済方法 残高スライド元利定額返済方式
担保・保証 不要

プロミス|自営者カードローン」より引用

こちらのカードローンの場合、金利が6.3%~17.8%と日本政策金融公庫や銀行に比べて非常に高く設定されています。一方で、借入までのハードルが低く、最短で即日で融資を受けることができるのが特徴です。

ただ、その分金利による返済額が高くなってしまうためあまり利用するのは得策とは言えません。ノンバンクで借り入れを行うときは、緊急で資金が必要になったときにするのが良いでしょう。

銀行融資の金利の計算方法や金利を決定する要素は?

銀行融資の金利の計算方法や金利を決定する要素は?

ここまでで銀行融資は様々な条件によって異なることは理解できたと思います。

しかし、金利はどのような要素により決まるのかについて気になる方もいるかもしれません。

ここからはそんな銀行融資の金利が決まる計算方法や要素などについて見ていきましょう。

銀行融資の金利の計算方法

銀行融資の金利は実質年率で表示することが義務付けられており、金利計算をする際も実質年率から算出します。

実質年率とは、元金以外に支払う必要がある利息や手数料などの諸費用を含めた金利のことです。

金利は以下の式で求められます。

「金利(利息額)=借入残高×金利(実質年率)÷365日×借入日数」

今回は次の条件を例に金利(利息)計算をしてみましょう。

<条件>

  • 借入残高:30万円
  • 実質年率:15.0%
  • 借入日数:30日

こちらを上記の数式に当てはめると、

「30万円×15.0%÷365日×30日=3,698.630…」

となり、3,699円が1か月の金利(利息)です。

それでは、上記条件で毎月3万円を返済する場合のシュミレーションをしていきます。

返済月数 支払額 返済額 利息 借入残高
1か月 30,000円 26,301円 3,699円 273,699円
2か月 30,000円 26,626円 3,374円 247,073円
3か月 30,000円 26,954円 3,046円 220,119円
4か月 30,000円 27,286円 2,714円 192,833円
5か月 30,000円 27,623円 2,377円 165,210円
6か月 30,000円 27,963円 2,037円 137,247円
7か月 30,000円 28,308円 1,692円 108,939円
8か月 30,000円 29,657円 1,343円 80,282円
9か月 30,000円 29,010円 990円 51,272円
10か月 30,000円 29,368円 632円 21,904円
11か月 22,174円 21,904円 270円 0円
合計 322,174円 300,000円 22,174円 -

30万円を金利15%で借りて、毎月3万円を返済すると合計で2万円以上利息が発生することになります。

返済期間を長く設定してしまうと支払う利息が増えてしまうので、可能な範囲で早めに返済できるといいかもしれません。

また、融資を受ける商品や制度の金利によって支払う額も変動してくるため、返済額を抑えたい方はできるだけ金利が低い商品や制度を選びましょう。

銀行融資の金利を決定する要素は?

銀行融資の金利は次の4つの要素で決まります。

  • 銀行の調達金利
  • 銀行の経費
  • 企業貸し倒れリスク
  • 銀行の利益

一つ一つの要素をご紹介します。

銀行の調達金利

銀行が企業に対して貸すお金は、ほとんどが銀行の自己資金ではありません。

銀行は預金者などから預かっているお金を企業に対して又貸しする形をとっています。

そのため銀行も預金をしてくれている人たちに利息を払う必要があります。

この利息などを企業に対する金利によって賄っているのです。

銀行の経費

銀行の経営には様々な経費が発生します。

経費は大きく分けて事業経費と諸経費があり、具体的には次のようなものがあります。

  • 事業経費:金融商品や有価証券の売買費用など
  • 諸経費 :人件費・システム代・オフィスの賃料・光熱費など

これらの経費を金利による収入により補います。

企業貸し倒れリスク

銀行が融資を行う先の企業が必ずしも経営がうまくいくとは限りません。

中には倒産してしまう企業もあるでしょう。

銀行はそのような企業の将来性や倒産リスクを踏まえた上で、倒産する可能性が高いような企業には通常より高い金利を設定する場合があります。

銀行の利益

銀行にとって金利は最も大きな利益の一つです。

そのため金利の設定はとても慎重に設定されています。

場合によっては利益のために金利を高めに設定していることもあるかもしれません。

銀行融資の金利は法人と個人でどのくらい変わる?

銀行融資の金利は法人と個人でどのくらい変わる?

ここまでで銀行融資における金利の相場や金利の決まり方について、ある程度理解できたと思います。

しかし、ご自身が経営している会社の事業規模によって金利はどのくらい違うのか気になる方もいるのではないでしょうか。

ここからは事業規模ごとの金利について、掘り下げていきましょう。

法人(大企業)向けの銀行融資は低金利?

大企業のような法人に融資を行っている有名な金融機関は、日本政策投資銀行や都市銀行です。

日本政策投資銀行は大企業向けに長期的な融資を行い、日本経済発展のため資金援助を行っています。日本政策投資銀行は国が運営している金融機関のため、基本的には低金利(1〜2%前後)で融資を行っています。

一方で、都市銀行の金利は数%〜10%前後と言われています。日本政策投資銀行よりは高く設定されていますが、ノンバンクや消費者金融などに比べると比較的低金利で融資を受けられます。

中小企業向けの借入金利の平均は?

中小企業が借り入れを行う金融機関は、日本政策金融公庫、銀行、ノンバンクなどが挙げられます。

各機関の貸付条件の傾向を簡単にまとめると次のようになります。

金融機関 日本政策金融公庫 銀行 ノンバンク
金利 年1〜3% 年2〜9% 年6〜18%
審査の難易度 厳しい 普通 優しい
融資までのスピード 1ヶ月 数週間 最短即日

※金利は目安です。各金融機関や制度・商品により異なります

審査は厳しく金利が低いのが日本政策金融公庫、審査は優しく金利が高いのがノンバンク、その中間が銀行といったイメージです。

ちなみに帝国データバンクによる調査によると、近年企業の平均借入金利は年々低下しています。2007年度の平均借入金利は2.33%でしたが、それ以降11年連続で低下しており2018 年度の企業の平均借入金利は1.37%となっています。

個人(個人事業主)向けの銀行融資の金利相場は?

個人事業主でも銀行から融資を受けることは可能で、金利は数%〜10%前後が相場と言われています。

他にも日本政策金融公庫やノンバンクなどからも借入を行えます。

各機関の具体的な金利や貸付条件は次のとおりです。

金融機関 日本政策金融公庫 銀行 ノンバンク
金利 年1〜3% 年2〜9% 年6〜18%
審査の難易度 厳しい 普通 優しい
融資までのスピード 1ヶ月 数週間 最短即日

※金利は目安です。各金融機関や制度・商品により異なります

個人事業主は、法人に比べて銀行から直接借入することは難しいと言われています。

一方で信用金庫や地方銀行からは、地域活性化などの観点から、個人事業主でも比較的低金利で融資を受けることができます

また、銀行から融資を受ける際の審査は、信用金庫やノンバンクなど他の金融機関に比べるとやや厳しいです。そのため融資を受けるまでにかかる期間も長いので、借り入れを行う際は計画的に利用する必要があります。

なお、審査に落ちてしまった方は、その原因と次回通過する方法を、こちらの窓口から無料で相談することができます。

銀行融資の金利に関するQ&A

銀行融資の金利に関するQ&A

最後に銀行融資の金利に関して気になることをまとめていきます。

銀行プロパー融資の金利相場は?

信用保証協会の保証を付けずに銀行に直接融資を受ける方法がプロパー融資です。

プロパー融資は一般的に大企業向けの融資と言われており、金利や融資額は担当者との協議で決まります。

金利においてはプロパー融資は信用保証協会の保証料がないため、低金利となることが多いです。

金利相場は年2〜9%前後と言われていますが、こちらは銀行との付き合いの長さや企業の信用度などによって異なります。

証書貸付の金利は安い?

証書貸付とは、お金を借りる際に書面で契約をする貸付方法です。

証書貸付には融資商品の数が多く用意されています。

そのため、金利も5%と低いものから14%を超えるものまで様々ですが、平均すると金利は8〜10%前後と言われています。

ちなみに、証書貸付の場合の審査は最短で1週間・最大で1か月ほどかかり、その後審査に通過するとお金が入金されるという形になっています。

銀行融資の金利は交渉して下げられる?

結論から言うと、銀行融資における金利を交渉で下げることは可能です。

銀行融資の金利は以下の要素により決まります。

  • 銀行の調達金利
  • 銀行の経費
  • 企業貸し倒れリスク
  • 銀行の利益

この中で最も調整しやすいのが企業貸し倒れリスクです。

企業貸し倒れリスクとは企業の信用度とも言い換えられ、企業の格付けや返済期間などによって変わります。

  • 企業の格付けランクが一つ違うと貸付金利が0.125%異なる
  • 返済期間が短いほど金利が低くなる

などとも言われるので、このあたりを頭にいれておくと交渉をうまく進められるかもしれません。

以下の記事では、銀行の格付方法や格付を上げるポイントについて詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

銀行のビジネス(事業)ローンの金利相場は?

銀行のビジネスローンの金利相場は5〜10%と言われています。

その他の条件としては、借入額は500~5,000万円、融資スピードは3日~1週間くらいが平均です。

具体例を挙げると、みずほ銀行「スマートビジネスローン」では次のような条件になっています。

  • 金利:1~14%(年率)
  • 借入額:最大1,000万円
  • 融資スピード:最短2営業日

このように銀行によっては最低金利が1%などと設定されている銀行もあります。

一方で、消費者金融やクレジットカード会社などのノンバンクのビジネスローンの金利相場は10~15%くらい。

借入額は300~500万円程度、融資スピードは最短即日が一般的な条件となっています。

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まとめ:創業計画書は正しい書き方で作成しよう

創業計画書の書き方にはコツがあり、ただ公庫の記入例を見本にしただけでは、審査を有利に進めることはできません。

創業計画書は、各項目ごとに具体的な情報と根拠を含め、担当者に事業の実現性を納得してもらうことが大切です。

こちらの記事では項目ごとに正しい書き方を詳しく解説しているので、創業計画書を作成する際の参考にして、ぜひ創業融資を成功させてください。

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